Macにしたら社内のサポートコストが減りました、とか言ってる企業はさっさと社員からMacも取り上げたほうがいい

広告

IBMがMACを導入したら社内サポート工数が圧倒的に下がったという趣旨のニュースが上がっていますね。

Macユーザー大勝利!Windows(笑) というようにも読み取れますし、実際にそう読み解いて対立を煽っているようなブログ記事も多数あります。

ところで、MAC OSとWindows OSの違いはどこにあるんでしょうか。

モノ好きでWindowsとMACを両方使っている私は、MacBook ProとSurface Pro 3をその日の気分に応じて持ち出したりしますが、正直どちらを使っても大した影響はありません。強いて言うならMacBookはWindowsが動くので、特に理由がなければMacが無難、といった程度でしょうか。そもそもMacはハードウェアとしてみたらある意味一番バランスが取れたWindows PCだよね、と。

話がそれましたが、生産性の視点から見たWindowsとMACの違いはほとんどありません。UIの違いは慣れてしまったせいもありますが、どちらもOSレベルでの「このUIは全く代替手段がない」という機能は少ないですし、パッケージソフトウェアや周辺ハードウェアだってどちらでも金を出せば似たようなものが買えるので、OSの違いで生産性が圧倒的に変化すると思うことはほぼありません

同じように、サラリーマン活動でオフィス系のソフトウェアを使って仕事をしているような現場であれば、Windows PC と MAC での業務効率に差は生まれにくいと思います。

今回の話はヘルプデスクの話なので、この辺とはきっと違うところに理由があるんでしょう。
MAC OSとWindows OSで、ヘルプデスクのサポート視点からの違いはどこにあるんでしょうか。

仮説として2つ考えてみました

ヘルプデスクの工数が下がった理由

仮説1:ソフトウェア管理の手間が減った

Windows では、OS に不足している生産性 (機能) を補うためにフリーウェアやシェアウェアなどの野良アプリ (乱暴な言い方ですがあえてこう表現します) を使うする文化が Windows 95 の時代から 20 年以上根付いてきました。

マイクロソフトが現在までパーソナルコンピュータ市場を牛耳ってきている中核は、

  1. オペレーションシステム (MS-DOS → Windows) のオープン戦略
  2. ビジネス市場での Office スイートのバンドルによる標準化
  3. ソフトウェアを活用した生産性のカスタマイズ(=PC分野における圧倒的規模のエコシステム)

の3つを確立したことにあったと考えます。(あとコンシューマにはエロゲーね)

1、2 はここでは詳しく触れないとして、3 についてはパソコンがかつて「パソコンに詳しい人の特別な道具」として使用されていた時代、重要な役割を担っていました。

パソコンはアプリ (フリーウェアやシェアウェアのことですが、ここでは便宜上「アプリ」とします) を使うことによって、PC使用者自身のITリテラシーに応じて生産性を上げることができます。
マウスの動きを自動化したり、ショートカットキーを増やしたり、OS の不具合だった文字化けをフリーソフトで修正するといったこととか。

その人のPCスキルによってパソコンが自分の思い通りの道具になる人と、振り回される人の圧倒的な差が発生するのが Windows であるとも言えます。
前述、私がWindowsとMACの生産性は変わらない、と言ったのもこのアプリによるカスタマイズありきのものです。
今でもあの使い慣れたアプリを使わないと仕事がはかどらない。という方は多いのではないでしょうか。

パーソナルコンピュータ領域では、以前のMac は Windows と比べエコシステムが圧倒的に小さく、アプリはあまりありませんでした。ただ、これは当時からOSの完成度が高かったためそういったアプリを必要としなかった、とも捉えることもできます。
どちらがアドバンテージがあるかをここで語るつもりはなく、「文化の違い」という意味で、パーソナルコンピュータ領域におけるエコシステムの捉え方はMACとWindowsで大きく異なります。

現在、 iPhoneでは App Storeによる強大なエコシステムを確立しています。これは前述の Windows の野良アプリ文化とは全く異なる仕組みで、Apple が中央集権的にすべての配布アプリを管理、監視することによって、不正なソフトウェアによる利用者の被害抑制やライセンス管理の確実性を担保するものです。

Mac OS でも Mac OS X v10.6.6 Snow Leopard 以降、App Store によるエコシステムを導入しています。これにより、(表向きは) 野良アプリが入れられないように見えるようになり、Windows とは異なる文化がさらに深まっています。

こういう文化が根付いてくると、ITリテラシーの低い社員や、そもそもPCを持たないスマホネイティブの若い社員などは、わざわざネットに置かれているプログラムを使って生産性を変えようという発想自体が少ない、と想定されます。

つまり、MAC を使っている社員は勝手にアプリを入れたりしないし、その発想もない。

ということで、Macを使うことによる問い合わせ減少の理由のひとつが
Macにしたら、余計なアプリを勝手に入れてパソコンおかしくするやつらが減った
と推測されます。

仮説2:ウィルス対策、セキュリティ関連の対応が減った

世のコンピュータウィルスはほとんどがWindows OSをターゲットにしたものです。
Macにはウィルスが圧倒的に少ないと言われています。

また、Macは先ほどのApp Storeのエコシステムやサンドボックスにより、さらに強固にウィルス感染に対策がされています
対して Windows はお世辞にも対策十分とは言えません。これを改善できない大きな足かせのひとつは、前述のエコシステムにあります。

Mac のこれまでの進化は、「過去を切り捨てる進化」でした。
既知のウィルスに対する完璧な対策のひとつは、「過去のコードを使わずにまるっきり新しいものを作ってしまう」です。ただし、これは過去に作ったアプリまで使えなくしてしまう諸刃の剣。実際に Mac OS は新製品が出るたびに後方互換を切り捨てた例が多くあります。

一方、Windows ではこの「過去を切り捨てる進化」を行っていません。あらゆるビジネス領域で利用され、圧倒的なシェアを持つ Windows は、このエコシステムの文化によって、過去を切り捨てることが許されない状況となっているためです。
ビジネスを停止させないためにも大量のソフトウェア資産との互換性を残す。Windows はここに資金を投入し Windows のアップデートを続けています。

これにより Windows のウイルス対策はいまだ完全な対策に至っていません。Windows が Windowsである限り難しいのかもしれません。
(そんなことやってるうちにGoogleクラウドとかから別方面で囲い込まれたりしてますけど、それは別の話)

20年前のシステムが稼働し続けるため、現役のエンジニアの生産性を落とさないため、過去の資産を一つも落とさず生かそうとするマイクロソフトと過去を切り捨てていくApple。考え方の違いがここにあります。

かくしてWindowsはウィルスの脅威にさらされ続けており、ウィルスは Windows のその圧倒的シェアに乗じて爆発的に広がり、対策の弱いPCに対して感染を広げます。
数千人規模の社員を抱える企業では社員のネットブラウズ中のウィルス検知だけでも相当量になります。
ヘルプデスクの問い合わせの多くはこれが占めているのではないでしょうか。

ということで、MACを使うことによる問い合わせ減少の理由のもうひとつが
Macにしたら、こっそりエロサイト見てウィルスに感染する奴が減った
と推測されます。

ていうか、そういう人たちに MAC を支給する意味って?

確かにMacで問い合わせが減るのもわかる気がするけど、こんな理由だったらMacである必要もないんじゃないかと。

そもそもMacを必要とする業務って何なんでしょう。

なんちゃらデザイナーだったりエンジニアだったりする人たちはパソコンを使って何らかのデジタルデータを生産したりするわけですが、こういった職種では専用のソフトウェアを必要とします。
そのソフトウェアを動かすためには Windows やら Mac OS やらの土台 (プラットフォーム) が必要になるわけですが、そういった生産活動を行わない人たちは、そもそも OS が何かなんて関係ないんじゃないですかね。

オフィス文書の作成やメールの処理だけならMacすら不要。今時はスマホでだって Office が使えます。
社内稟議やプロジェクト管理など、多くのビジネスプロセスが電子化され、ネットワーク (イントラネット) 上で処理されるようになったたいま、パソコンがパソコンとして端末側で生産を行う機会は圧倒的に減少しています。

特定の専門職以外は Windows だろうが Mac だろうがパソコンをパソコンとして使用していない、というのが実態なんじゃないでしょうか。

「プロセス処理」するだけなら iPad 与えときゃいいんじゃねぇの?

ビジネスプロセスの処理だけであれば Windows も MAC も関係なく、PC自体が不要になります。誰かが事前に処理すべき帳票の見た目 (ビュー) と動きだけを作っておいて、その他大勢の社員はそこに必要な情報を入力するだけ。これで社内のほとんどの業務が回ります

結局、これまでヘルプデスクに来ていた問い合わせの根本的原因っていうのは、Excel やら PowerPoint やら、自由度の高い パソコン向けの OS やら、そういった利用者個人の扱い方に左右されるモノをリテラシーの低い社員に与えてしまったことによって、「余計なことやらせちゃってただけ」ってことじゃないんでしょうかね。

であれば、そんな社員からはさっさとMacも取り上げて、iPhone か iPadでも渡しときゃ十分、会社が必要とする職務は果たせる、ってことになるんじゃないでしょうか。
10分で報告が終わる毎週の報告資料を丸一日かけてパワポで作らせても時間の無駄ですからね。

で、ニュース記事のいくつかを読み直してみると、IBMが導入したものは「MacおよびiOSデバイス」と書かれています。
ヘルプデスクに貢献しているのは結局「iOS」だったんじゃないですかね。
であればこれまでの話がすっきりします。

結局 Mac と Windows の宗派論争に矮小化されてしまったこのニュース。本質は、「なんのOSが優れていたのか」ではなく、「世のサラリーマンはもうパソコンを必要としていなかった」っていう話だったんじゃないかと思います。
そもそもほとんどの社員には Mac OS を含めたパソコン用の OS 自体が必要なく、パソコンそのものは余計なことをするきっかけになっている。そんな状況であれば生産性のある特定の専門職以外からはさっさと Mac も取り上げて、ビジネスプロセス処理や文書作成を iPad でやらせたほうが健全なんじゃないですかね。

このニュースで、これまで Windows を使ってた人たちに Mac を与えたらコストが下がった、Mac大勝利。と思ったあなた、ミスリードにまんまとはまってますよ、と。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

クラベルでは読者を大募集中です

気に入っていただければ、TwitterのフォローRSSの登録、ブックマークなどをしていただければ大変うれしいです。Twitterでは日頃のつぶやきやブログの最新情報などを更新しています。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)