2015年6月19日、マイクロソフトの最新タブレット端末「Surface 3」が発売開始されます。
Surfaceシリーズではこれまでも廉価モデルとして「Surface RT」「Surface 2」などの販売を行っていましたが、今回の「Surface 3」は、フルバージョンの Windows 8.1 を搭載しながらも携帯性を高め、価格を抑えた魅力的なモデルとなっています。
この Surface 3 と Surface Pro 3 との主な仕様について比較してみます。
比較表
Surface 3 (4G LTE) | Surface Pro 3 Intel Core i3 |
Surface Pro 3 Intel Core i5 |
Surface Pro 3 Intel Core i7 |
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CPU | インテル Atom x7 プロセッサー |
第 4 世代 インテル Core i3プロセッサ |
第 4 世代 インテル Core i5プロセッサ |
第 4 世代 インテル Core i5プロセッサ |
OS | Windows 8.1 (64 ビット) Windows 10 無償アップグレード |
Windows 8.1 Pro (64 ビット) Windows 10 無償アップグレード |
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Office | Office Home & Business Premium プラス Office 365 サービス | |||
大きさ(寸法) | 約 267 mm x 187 mm x 8.7 mm | 約 292mm × 201.3mm × 9.1mm | ||
画面のサイズ | 10.8インチ | 12インチ | ||
解像度 | 1920 x 1280 | 2160 x 1440 | ||
重量 | 約 641 g | 約 800 g | ||
記憶容量 | 64 GB または 128 GB | 64 GB | 128 GB または 256 GB | 256 GB または 512 GB |
RAM | 2 GB または 4 GB | 4 GB | 4 GB または 8 GB | 8 GB |
バッテリー駆動時間 | 最大約 10 時間のビデオ再生が可能 | Web 閲覧時、最大 9 時間 | ||
カメラ | 350万画素 (フロント) 800万画素 (リア) オートフォーカス |
500万画素 (フロント) 500万画素 (リア) |
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4G LTE対応 | ○ | × | ||
外部ディスプレイへの接続 | 最大 1 台 | マルチ (デイジー チェーン接続) |
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Surface ペン | 別売 | 付属 | ||
キックスタンド | 3 段階 | マルチポジション | ||
外部端子
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フルサイズ USB 3.0 端子 | |||
Mini DisplayPort | ||||
microSD カード スロット | ||||
カバー用端子 | ||||
マイクロ USB 充電端子 (USB 2.0 データ通信対応) |
専用充電端子 | |||
Nano-SIM カード スロット | ||||
電源アダプタ | マイクロ USB 対応充電器が使用可能 | Surface Pro 3専用電源ケーブルが必要 |
違いは?
写真を比べただけではわかりにくい違いに「大きさ」と「重量」があります。
Surface Pro 3 が 12 インチのが画面サイズに対して、Surface 3 では 10.8 インチと、少し小さめのサイズに変更されています。それに伴い重量も Surface Pro 3 の約 800g に対し、Surface 3 は約 641g と、シリーズ最軽量のものとなっています。
また、Surface シリーズの特徴でもあるキックスタンドについて、「Surface Pro 3」では無段階調節ができますが、「Surface 3」では3段階調節式となっています。
設定できる角度については公表されていないようですが、PC Watchで実測された情報が掲載されています。
設置できる角度は、実測で31度、48.6度、67.6度。自由に角度調節できないのは、クラムシェル型のノートPCをメインで使っている筆者としては少々不満。
引用元:
日本マイクロソフト「Surface 3」~メインPCに足る性能を備えたWindows 2-in-1のリファレンス機
【Hothotレビュー】 日本マイクロソフト「Surface 3」 ~メインPCに足る性能を備えたWindows 2-in-1のリファレンス機
恐らく使い勝手をできるだけ落とさないよう利用頻度の高い角度を採用し、軽量化やコストダウンにつなげているのかと思いますが、無段階調節ができる Surface Pro 3 と比べてしまうとやはり使い勝手が落ちてしまうようです。
また細かい変更点として、カメラの変更があります。
Surface Pro 3 はフロントカメラ、リアカメラともに 500 万画素の固定焦点となっていますが、Surface 3 ではリアカメラが 800万画素のオートフォーカス付きカメラとなり、近距離撮影や風景撮影などでも使えるスペックとなっています。一方でフロントカメラは350万画素となっていますが、こちらはビデオ通話用途などであれば十分な解像度のため、それぞれの使い分けを明確にし最適化した結果かと思われます。
パソコンとしての使い勝手は?
Surface 3 に搭載されている Atom x7 という CPU は、Intel のモバイル向けとしては最新のCPUで、大画面スマートフォンやタブレット端末に採用されています。
スマホ向けと聞くとパソコンとして使うには性能が足りないのではないかと思ってしまいますが、PC Watch のレビューでは、Windows 7 時代のハイエンドノート PC 並と評価されています。
実際にテストして分かったことは、Atom x7-Z8700はWindows 7時代のハイエンドノートPCと同じ程度の性能を備えており、Webを見たり、Officeアプリケーション程度であれば十分な性能を持っているということだ。
引用元:Surface 3でAtom x7-Z8700の実力をチェック
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/ubiq/20150519_702621.html
ブラウザやメールなどのネット利用であればスマホやタブレットでも十分ですが、ビジネスユーザーにとって Office アプリケーションがいつでも使え、数年前の高性能 PC 並に Windows ソフトウェアも利用できる環境を持ち運べる、という Surface 3 のメリットは大きいのではないでしょうか。
また、LTE についてはワイモバイルのみで取扱うと発表されていますが、IIJMioなどの NTT ドコモ回線でも利用はできるようです。ただしこの場合、サポートや保障などに制限があるため注意が必要です。
実際、NTTドコモのMVNOであるIIJmioのデータSIMを挿し込んでみたが、問題なく通信が行えた。試用期間がまだ短いため、ワイモバイル回線とMVNO回線での差は見えてこないのだが、どちらも十分以上に快適であると感じた。
ただし、日本国内向けのLTE通信のサポートは、すべてソフトバンクとワイモバイルの回線でのみ行われる。動作確認も、いわゆる技適の審査も、ソフトバンク系回線で使われているLTEのBand 1(2.1GHz)/3(1.7GHz)/8(900MHz)、3GのBand 1/8のみで行われているという。
引用元:「Surface 3」レビュー、マイクロソフトが放つ「iPadキラー」の価値は? – 西田宗千佳の家電ニュース「四景八景」
「Surface 3」レビュー、マイクロソフトが放つ「iPadキラー」の価値は? - 西田宗千佳の家電ニュース「四景八景」今回は、マイクロソフト「Surface 3」の日本語版実機を試用する機会を得たので、取り急ぎ、その使用感について触れてみよう。一言でいえば、「これはヒット商品に...
具体的に、Surface3 は技術基準適合証明(技適)に LTE の Band 1 (2.1GHz) / 3 (1.7GHz) / 8 (900MHz)、3G の Band 1/8 だけを申請しているということ。他のバンドは使えないわけではないものの、国内の利用は想定しておらず技適の申請もされていないため、電波法上の問題になる可能性もあります。実際に他社のSIMカードを利用して問題が発生する可能性は少ないと思いますが、少し歯切れの悪い扱いとなっています。
決め手は?
Surface 3 と Surface Pro 3 とを比較した場合、選択の決め手は「パソコンとして使いたいこと」のどこまでを求めるかによると思われます。
なんでもできて価格も大きさもある程度は気にしない、ということであれば当然ノートPCとしても最高級のスペックを持つ Surface Pro 3 の選択が確実になりますが、Surface 3 にはタブレットとノートPCそれぞれのメリットを最大限に引き出し、バランスを維持するための工夫があります。
実際にモバイルデバイスを持ち歩く場合、Surface などのタブレットデバイスとスマートフォン、場合によってモバイルルーターなどと一緒に持ち運びをするケースが想定されます。
Surface Pro 3の場合、電源アダプターが専用のものとなっており、外出先で充電するためには本体と合わせて 100g 以上のアダプターを持ち歩く必要があります。
一方、Surface 3 では充電端子が マイクロ USB のため、一般的な Android スマートフォンで使われる充電器と同じものを使用することができます。
充電速度などに多少影響はありますが、100g 以下のアダプタで、かつひとつ持ち歩くだけでスマホと使いまわせるという点は Surface Pro 3 とは異なる視点での優位性です。
また、Surface 3 は 4G LTE 内蔵のため、モバイル SIM カードを差し込むことで単体でネット接続を行うことができます。もし、ノート PC のためにモバイルルーターも同時に持ち歩くようなことがあれば、Surface 3 であればモバイルルータの持ち歩きが不要になるかもしれません。
スマホとタブレットの運用を考えたときに、スマートフォンと Surface 3、それと小型のUSB充電器をひとつ持ち歩くだけで、ネットブラウズやタブレットサイズのアプリが使え、パソコンとして Office 製品を十分なスペックで利用でき、電源の取り回しもケーブル 1 本のみ、しかもデザインもオシャレ、というシンプルかつ快適なモバイル環境を作り出せる点は大きなメリットだと思います。
結論
- モバイル機器の持ち歩きが多い。
- Office などの PC の環境 (Windows 環境) が必要。
- PC での作業は軽めで、動画編集やハイエンドなゲームなどは重視しない。
- Android スマホを使っており、持ち歩くモノの総量をを減らしたい。
- 見た目にもこだわりたい。
などに該当する方は Surface 3 のメリットを最大限に活かすことができるのではないでしょうか。