AppleストアがLucky Bag(福袋)の販売をやめた本当の理由

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毎年人気のAppleストアの福袋「Lucky Bag」ですが、2016年は販売されないとのニュースがありました。

年明けの一大イベントとしてAppleストアの店舗に行列を作った様子や中身の予想、Lucky Bagの開封の様子などが各種メディアやブログなどにも取り上げられ盛り上がっていましたが、今年は実施されないとのことで少し残念です。

Appleストアの福袋「Lucky Bag」は日本発祥の文化

Appleが年始に販売していた「Lucky Bag」は、いわゆる福袋。毎年1月2日に発売され、iPod TouchやApple TV、iTunes Cardなどが商品として入っており、またアタリには iPad やMacBook Airが入っていました。価格も2015年版は36,000円と福袋としては比較的高価なものといえます。

福袋は日本発祥の文化だといわれています。「Lucky Bag」ももともと、日本のAppleストア銀座店で初めて発売されたもので、この時の評価が高かったことから、他の日本の直営店でも毎年実施されるようになりました。さらにはこの評価を受けて、米国のAppleストアでも、開店記念に「Lucky Bag」の企画が実施されるようになったそうです。

「Lucky Bag」をやめる理由ってなんだろう

ところで今回、Appleストアが「Lucky Bag」をやめてしまう理由は何なのでしょうか。何が起こっているのか。ネットではいろいろ推測されています。

  • 開店待ちの行列に対するオペレーションが大変。銀座に徹夜で行列を作らせるのはどうなんだ。
  • 結局転売されてしまうので安売りする意味がない
  • 高級ブランドショップでは福袋をやってないのでAppleもやめた

もっとものように思われる理由ですが、どうでしょう?

行列の対応は大変ですが、あくまで費用対効果として効果が上がれば継続したほうがいいはず。そもそも、銀座の行列がダメならネットで売ったっていい。福袋の販売そのものをやめたのには別の理由があるのでしょう。

また、福袋の転売は買い手にとっては迷惑な行為ですが、売り手にとってはもともとダブついた在庫の処分という目的は果たしているため、売り手への影響は軽微でしょう。行列が品のない転売屋で埋め尽くされるなら他のお客様も迷惑するので対策は考えるかもしれませんが、AppleはLucky Bagに限らず、他の商品でも当日の行列をさせない方向に動いています。これらはネットでも買える商品なので単純な転売対策だけとは言いにくそうです。

ブランドについても、考えなしに他社に追従するようなAppleではないはず。だからみんなApple好きなんでしょ。そもそも行列するとブランドイメージって損なわれるの?

ネットで挙げられてた上記の理由、個人的にはどの理由も浅い気がします。

Appleの世界戦略

Appleの経営戦略の大きな特徴として「本社主導」があげられます。Appleは数ある企業の中でも特に本社からの統制が強い会社として知られています。

例えば、マイクロソフトの代表的なソフトウェアとして「Office製品群」があります。このOffice、米国ではクラウド版のOffice 365(クラウド版)の販売が好調ですが、一方で日本ではPCにプリインストールされた状態(オンプレミス版)で販売されるのが主流です。

また、スターバックス コーヒーには「ショートサイズ」での販売が行われていない国もあります。

こうしてグローバル展開している企業は、多かれ少なかれ現地固有の販売戦略を持ってマーケティング活動を行っています。

一方でAppleは製品ラインナップやデザイン、その売り方となるCMなどの広告マーケティング手法、Appleストアでの販売オペレーションまでが美しいほどに統一されています。これは単純に米国本社から日本現地法人への指導だけでなく、強力な統制をもとに行われています。Webサイトを見てみれば一目瞭然、AppleのWebサイトでは世界各国の言語に対応したページがありますが、どの言語で表示しても見事に同じデザイン、同じ内容で構成されていることが分かります。こうしてAppleの「ブランド」が維持されています。

話が少し逸れますが、銀座のAppleストアに買い物に行ったとき、iPadのスマートカバーのカラーバリエーションを見たくてサンプルを店員さんに出していただいたのですが、店員が持ってきた商品サンプルをドサッと机に放り投げるのを見て唖然とした経験があります。こういった教育研修なども日本のサービス基準とはちょっと違う印象を受けました。(それがアメリカでは普通ということではなく、店員個人の対応品質もあると思いますが、日本の小売店では経験がありません)

日本の現地法人である「Apple Japan合同会社」は米国本社の言いなり、社長ですら力はなくてすべて本国の指示で動いてる、なんて言われたりしますが、大げさではないのでしょう。

そういった背景からもAppleの販売戦略として、そもそも日本主導で日本のAppleストアだけがLuck Bagの販売を行っていたこと自体が特殊であった、というのが実態だったのではないかと思います。

世界規模に展開できるかできないかの判断

とはいえ、日本の成功事例として10年にわたって継続が認められてきた「Lucky Bag」という商品。おそらく他国のマーケットでも同様の展開ができるのかどうかリサーチもされてきたのでしょう、この10年はそういう期間として位置づけられていたのかもしれません。

ただ今回の「Lucky Bag」発売中止によって、やはりこの「福袋」という文化が世界規模、特にアメリカでは効果を上げにくい、といったことがAppleの中でひとつ結論付けられていたのではないでしょうか。

アメリカで福袋文化が流行りにくい理由のひとつに「返品文化の定着」があるのではないかと思います。

アメリカでは、開封後一定期間利用して特に使用上問題がなかったとしても、一定の期間内であれば自由に返品できるような返品制度が一般化しています。何度も袖を通した洋服や梱包を解いてしばらく使用した家具、家電などもあたりまえのように返品されます。日本ではなかなかこういうことはありません。

また、福袋の性質上「あたりはずれ(勝ち負け)」がその場ではっきりするため、特に勝ち負けを重視する文化ではより大きなクレームや反発を生んでしまう可能性がります。

日本では福袋で手に入れた商品が「ハズレ」であっても、友達同士などで交換したり、他社に転売したり、何とか使い道を考える行動が取られる一方、アメリカをはじめとした他国では「クレーム」や「返品」の行動を優先的にとられてしまうのが販売側の一番のリスクになっているのではないかと思います。

あくまで個人的な想像ですが、こんな理由で世界には「Lucky Bag」が受け入れられなかったのではないでしょうか。日本発祥の福袋は世界規模では売り方の難しい手法のようです。

お店はやってます。2016年1月2日 午前10時から

Lucky Bagの販売はなくなったAppleストアですが、店頭のオープンは2016年1月2日から行うとのこと。ただし、特に初売りセールのような施策などが実施されるとの情報はなく、また開店時間は10時からとなりますのでご注意ください。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

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